世界的な紛争のコストが増加する(2025年1-2月号)
ジェニファー・ポスト[*]

べリスク・メイプルクロフトの政治リスク展望によると、世界の紛争地帯は2021年以降65%増加している。中東とウクライナは依然として最も激しい紛争地域であるが、紛争の影響を受けた地域に関しては、アフリカが他のどの地域よりも大きく拡大しており、紛争地帯の規模は2倍になっている。過去3年間で、世界中で合計27か国において武力紛争のリスクが大幅に増加している。ミャンマーの内戦やハイチとエクアドルでのギャング暴力の激化など、あまり知られていない紛争も全体的な地政学的問題に影響を与えている。今年は20万人以上が紛争で亡くなっている。
膨大な人的被害に加えて、地政学的不安定性により、世界的にビジネスを行うコストも10年ぶりの高水準に上昇している。こうした紛争は、世界的な貿易制限や税負担の増加、外交緊張の高まりを特徴とする脱グローバリゼーションへの動きと相まって、多くの企業の運営費や人件費の上昇につながっている。影響を受けた地域の企業はサプライチェーンの多様化とリスク軽減を目指しているが、進行中の犯罪や人権問題によりプロセスが複雑化し、最終的には企業の利益率や競争力が損なわれる可能性がある
トピックス
国際、リスクマネジメント
注意事項:本翻訳は“Costs of Global Conflict Increasing ”, Risk Management Site (https://www.rmmagazine.com/articles/article/2025/01/02/costs-of-global-conflict-increasing ) January 2025,をRIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。
ジェニファー・ポストは本誌編集者。